企業のプロモーションや採用活動などにおいて効果を発揮する動画コンテンツですが、制作には費用が発生します。

動画は数あるコンテンツの中でも費用の振れ幅が大きく、数十万円程度から数百万、ものによってはそれ以上と、何をどこまでやるのかによって大きく変動します。

そこで今回は「企業の動画制作で利用可能な補助金や助成金の情報」をまとめて、製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社の株式会社エルモがご紹介します。

補助金や助成金を活用して、動画制作の検討に役立ててください。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体から提供される資金ですが、それぞれの役割や条件には大きな違いがあります。

補助金助成金
交付する機関国(経済産業省)、地方自治体国(厚生労働省)、地方自治体
目的経済・地域を活性化させるため雇用・労働環境の改善を図るため
条件要件を満たしても審査に落ちてしまう可能性がある要件を満たせば受け取れる
申請期間数週間~1カ月随時または数週間

補助金

経済産業省や地方自治体が企業や団体に対して、事業の支援を目的に交付するものです。

財源は税金であり、選ばれた事業に対して支給されます。

補助金を受け取るためには、事業の進捗状況の報告や、場合によっては収益の納付が求められることもあります。

また、補助金を受け取った後は、5年間にわたり関連書類を保管する義務があります。

条件をすべて満たせば基本的に受け取ることが可能で、審査に落ちる心配は少ないのが特徴です。

助成金

厚生労働省や地方自治体が、主に雇用や労働環境の改善を目的として支給する資金です。

動画制作で利用可能な補助金・助成金は大きく4種類

動画制作に活用できるは補助金・助成金は、おおきくわけて以下の4種類があります。

主な補助金・助成金

  1. 小規模事業者持続化補助金
  2. 事業再構築補助金
  3. IT導入補助金
  4. 地方自治体の補助金

それぞれの条件は以下の通りです。

最大補助額最大補助率申請方法
小規模事業者持続化補助金200万円1/2電子・郵送
IT導入補助金450万円1/2電子
事業再構築補助金1.5億円2/3・1/2電子
自治体の補助金各自治体による各自治体による各自治体による

1. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
「小規模事業者持続化補助金」公式サイトより引用

小規模事業者持続化補助金の対象者

補助金の対象者となるのは、下記の法人、個人事業、特定非営利活動法人です。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)常時使用する従業員の数が5人以下
宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数が20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数が20人以下

小規模事業者持続化補助金の対象経費

補助対象になる経費は以下のとおりです。

対象経費活用事例
機械装置等費補助事業を実施するために必要な機械装置の購入など
広報費Webサイト・ECサイトなどの開発や構築、更新、改修、運用にかかった費用
Webサイト関連費補助事業を実施するために必要な機械装置の購入など
展示会等出展費展示会や商談会に出展する際の費用
旅費販路開拓などを行うためにかかった旅費
開発費補助事業に関する資料や図書など
雑役務費補助事業を実施するために臨時で雇用したアルバイト・派遣社員の人件費
借料機器や設備のリース・レンタル料
設備処分費新サービスを行うために必要なスペースを確保するための設備処分費
委託・外注費自社では実施するのが難しい業務を第三者に依頼する際に発生した費用(契約が必須)

小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額

小規模事業者持続化補助金の補助率は2/3(赤字事業者3/4)

補助上限額は最大200万円です。

詳細はこちらをご参照ください。

2. 事業再構築補助金

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、今なおコロナの影響を受ける事業者、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者を重点的に支援し、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する制度です。


「事業再構築補助金」公式サイトより引用

事業再構築補助金の対象者

対象者はそれぞれの申請類型ごとに異なります。詳細は以下の通りです。

類型・枠対象
成長分野進出枠・通常類型ポストコロナに対応する成長分野への事業再構築に向けて取り組む事業者
成長分野進出枠・GX進出類型ポストコロナに対応する、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取り組みを行う事業者
コロナ回復加速化枠・通常類型現在もコロナの影響を受け、債務の借り換えなどを行っている事業者、事業再生に取り組む事業者
コロナ回復加速化枠・最低賃金類型コロナ禍が終息した現在、最低賃金引き上げの影響を大きく受けている事業者
サプライチェーン強靭化枠ポストコロナに対応する、国内サプライチェーンの強靭化に向けて取り組んでいる事業者

事業再構築補助金の対象経費

対象経費は「成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠」と、「サプライチェーン強靭化枠」で異なります。

類型・枠対象
成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠建物費機械装置・システム構築費、クラウドサービスの利用費、運搬費技術導入費、知的財産権等関連経費外注費、専門家経費広告宣伝・販売促進費研修費
サプライチェーン強靭化枠建物費機械装置・システム構築費

事業再構築補助金の補助率と補助上限額

事業再構築補助金の補助率と補助上限額は以下の通りです。

類型補助上限額補助率
成長分野進出枠・通常類型3,000万円
(一部廃業を伴う場合は2,000万円の上乗せ)
中小:1/2
中堅:1/3
成長分野進出枠・GX進出類型中小:5,000万円
中堅:1億円
中小:1/2
中堅:1/3
コロナ回復加速化枠・通常類型2,000万円中小:2/3
中堅:1/2
コロナ回復加速化枠・最低賃金類型1,500万円中小:3/4
中堅:2/3
サプライチェーン強靭化枠3億円
建物を含む場合は5億円)
中小:1/2
中堅:1/3

詳細はこちらをご参照ください。

3. IT導入補助金

IT導入補助金とは、様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金です。


「事業再構築補助金」公式サイトより引用

下記の枠の中から、自社の目的に合致するものに対して申請を行います。

IT導入補助金の対象者

IT導入補助金は中小企業・小規模事業者等が対象となります。

中小企業

業種・組織形態資本金(資本の額又は出資の総額)従業員(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300名
卸売業1億円100名
サービス業5,000万円100名
小売業5,000万円50名
ゴム製品製造業3億円900名
ソフトウエア業又は情報処理サービス業3億円300名
旅館業5,000万円200名
ソフトウエア業又は情報処理サービス業3億円300名
その他の業種(上記以外)3億円300名

小規模事業者

業種分類従業員(常勤)
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5名以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20名以下
製造業その他20名以下

IT導入補助金対象となるITツール

IT導入補助金の対象となるITツールは、下記のいずれかの機能を有しているものとなります。

※事務局から認定を受けたITツールのみが補助金の対象となります。

  • 顧客対応・販売支援
  • 決済・債権債務・資金回収
  • 供給・在庫・物流
  • 会計・財務・経営
  • 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
  • 業種固有プロセス
  • 汎用・自動化・分析ツール

IT導入補助金の補助率と補助上限額る

IT導入補助金の種類ごとの補助率、および補助上限額は以下の通りです。

種類最大補助率補助上限額
通常枠(A・B類型)1/2450万円
セキュリティ対策推進枠1/2100万円
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)3/4・2/3~50万円以下
50万円超~350万円

詳細はこちらをご参照ください。

4. 地方自治体の補助金

ここまでご紹介した「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」以外にも、地方自治体によっては個別の補助金や助成金を設定している場合もあります。

地方自治体によって取り組みも異なるため、詳細は「補助金ポータルサイト」などを活用して情報収集するのがおすすめです。

補助金ポータルサイトの一例
ミラサポPlus

補助金ポータル

補助金は必ずしも採択されるわけではないことに注意

補助金は便利な制度ですが、申請しても必ずしも採択されるわけではないことに注意が必要です。

小規模事業者持続化補助金はおよそ3~4社に1社、事業再構築補助金はおよそ4社に1社と採択率は決して高くありません。

申請に手間もかかりますので、動画制作にかかる予算や必要な時期とのバランスを見ながら検討されるのが良いかと思います。

企業の動画制作で利用可能な補助金や助成金のまとめ

動画制作にかかる費用は、検討を前向きに進めるためにも非常に重要な要素です。

補助金や助成金を活用すれば自社の負担の大きく軽減できるため、初めての動画制作であれば背中を押すきっかけになりますし、補助金や助成金分をクオリティアップのための伸びしろとして活用することも可能です。

しかしながら、必ずしも採択されるわけではなく、申請に社内の手間や時間も必要なため、ある程度スケジュールに余裕を持って進めることが前提となる点には注意が必要です。

費用を抑えて動画を制作する方法もあるため、まずは動画制作会社に相談の上、自分たちが「やりたいこと・作りたいものがどの程度の費用がかかるのか」を理解した上で進めると効果的です。

補助金や助成金を活用して、動画制作を前向きに検討されてください。

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