目次
1. 動画は「表現」ではなく「伝達の設計」
多くの企業が動画を導入していますが、「思ったほど成果につながらない」「内容は良いのに伝わらない」という声をよく耳にします。
その原因は、動画を“映像表現”として捉え、伝達の仕組みとして設計していないことにあります。
企業が発信する情報の多くは、製品説明や事業紹介、人材採用など、明確な目的をもっています。
しかし、目的が明確であるほど、「伝え方」の設計が曖昧になることがあります。
動画制作とは、単なるビジュアルの制作ではなく、「伝えるための構造を設計する行為」です。
私たちエルモは、映像表現の前に「伝わり方の設計」を重視しています。
それが「伝える力」であり、成果を生み出す映像の根幹にある考え方です。
2. 「伝える力」とは──情報設計と理解促進のスキル
「伝える力」とは、情報を正しく理解されるための設計力を指します。
情報発信は「伝える」ではなく「伝わる」ことで初めて意味を持ちます。
特に製造業や医療業界など専門性の高い分野では、製品や技術の理解には前提知識が必要なケースがあります。
そのため、映像を単純に“かっこよく”編集しただけでは、正確な理解にはつながりません。
見る人の知識レベル・関心・目的に合わせて情報を分解し、理解しやすい順序で構成することが不可欠です。
つまり、動画における「伝える力」は次の3点で構成されます。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 伝えたい内容 | 何を・どの順番で・どの深さで伝えるかを定義する |
| 表現方法 | 映像・音声・テキストなどの手段を選び、理解しやすい形に変換する |
| 受け手の情報 | 誰に・どんな知識レベルで伝えるかを想定し、理解度に合わせる |
これらの設計が揃ってはじめて、動画は「伝わる」ツールとして機能するのです。
3. BtoB企業における「伝える力」の必要性
BtoB領域では、製品や技術の導入に関わる意思決定者が多く、購買プロセスが複雑です。
意思決定に関与する人数は平均6〜10名とされる調査もあり、担当者が理解しただけでは購買は動きません。
担当者が製品・サービスのメリットを理解できるのはもちろん、「上長に説明するための資料」としても活用できるかどうかもポイントになってきます。
つまり、「伝える力」は営業担当だけでなく、企業全体の説得力を高める“商談推進装置”とも言えます。
また、動画は人材採用・教育・展示会・IRなど複数の領域で再利用でき、 情報の一貫性と効率性を両立できる手段でもあります。
BtoB企業こそ、「伝える力」を企業活動全体の基盤として整える必要があるのです。
4. エルモが重視する3つの設計思想(目的・構造・表現)
エルモの動画制作は、次の3つの設計思想に基づいています。
① 目的の設定:なぜ作るのかを明確にする
動画制作の第一歩は「何を伝えるか」ではなく「なぜ伝えるか」です。
営業支援なのか、採用強化なのか、社内理解の促進なのか、目的が曖昧なまま制作を進めると、メッセージが散漫になり、結果として“何も残らない映像”になります。
エルモでは、制作前に「この動画でどんな変化を生みたいか」をしっかりと定義し、あるべき姿を設定したうえで構成を立案します。
② 企画構成:理解をデザインする
製造業や医療業界など、専門性の高い分野では「情報の順序」が理解を左右します。
専門用語や工程説明を羅列するのではなく、 「全体像 → 原理 → 特徴 → 実例 → 効果」という構造に整理して設計します。
たとえば製品紹介動画では、導入部分で「現状の課題」や「市場ニーズ」を提示し、 次に「自社技術の優位性」→「製造体制」→「導入メリット」の流れを設計する。
この“理解の道筋”があるだけで、視聴者の離脱率は30%以上下がるという分析結果もあります(出典:Wistia『Video Engagement Study 2023』)。
③ 表現方法:見やすさより、伝わりやすさ
動画はきれい、かっこいいなどの「見栄え」が重視される流れもありますが、私たちは「伝わりやすさ」を重視します。
画面デザインから編集方法、テロップの量や大きさ、ナレーションなど、「視聴者がどれだけ理解できるか」「企業や製品の価値が伝わりやすいか」を基準に最適化しています。
例えば、企業のブランドやアイデンティティを伝える動画と、製造工程や品質管理体制を伝える動画では求められるカットがまったく異なります。
伝えたい内容に合わせて最適な表現方法を選択することで、見る人により伝わる(伝達精度)を高めています。
これらの目的・構成・表現の3つがエルモの動画づくりの基本思想になっています。
5. 「伝える力」を支えるプロセス設計とチームワーク
伝える力は、個人のスキルではなく、チーム全体による設計力の総和です。
ディレクター、撮影、編集、CG、ナレーターが別々に動くのではなく、 一貫した目的と意図の共有をもとに連携することで、品質が担保されます。
当社では、以下のような工程でプロジェクトを進めます。
| 工程 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| ヒアリング | 課題・目的・視聴対象を明確化 | 現状の課題から、目的、理想の姿までを見える化 |
| 企画構成 | 伝達の順序と論理構成を定義 | 専門性を保ちつつ一般視聴者にも理解できる構成 |
| 演出・撮影 | 現場のリアリティを可視化 | 工程理解・動線管理に基づいた撮影計画 |
| 編集・仕上げ | 理解と印象を両立 | 音・映像・テロップを最適化し、情報の定着率を高める |
| 運用支援 | 動画の効果を最大化 | Web・展示会・営業・教育など複数チャネルで活用提案 |
この一貫したプロセスにより、動画を単なる制作物ではなく、現場に即したコミュニケーション資産として機能させています。
6. 「伝える力」は経営資源
動画はもはや単なるプロモーションツールではなく、 経営資源としてのコミュニケーション基盤です。
製造業では、技術伝承・安全教育・ブランド発信・採用・営業支援など、どの領域においても「伝える力」が企業の成果を左右します。
特に、ベテランから若手への技能継承や、海外拠点との情報共有など、人の移動や言語を超えて知識を可視化する手段としての価値は高まっています。
一般的な制作会社が「映像の完成度」を競うのに対し、私たちエルモは「伝達精度」を追求する専門パートナーです。
20年以上にわたり製造業・医療業界という“現場の言葉を持つ業界”と向き合ってきた経験が、 成果を生むための確かな知見につながっています。
私たちは、動画を「制作物」ではなく、企業の戦略的資産として位置づけ、中長期的なブランド価値向上を見据えて支援しています。
8. まとめ:伝える力を、企業の持続的価値へ
「伝える力」とは、単に映像を使うスキルではありません。
それは、企業が社会と信頼関係を築くための基盤であり、社員が自分の仕事に誇りを持ち、顧客が企業を理解するための架け橋です。
私たちは、動画という手段を通じて、企業が“本当に伝えるべきこと”を構造化し、持続的な価値へと変換します。
動画をつくるのではなく、「伝える力」を設計すること。
これからも、企業の伝達力を支え、社会に“伝わる仕組み”を築いていきます。
