1. 医療現場で高まる「わかりやすい説明」への期待

なぜいま“説明の質”が問われるのか

医療の説明が難しくなる背景には、医療の高度化だけでなく、患者の情報接触の変化があります。いまの患者は説明を受ける前にインターネットで情報を調べることが増えていますが、その情報は正確ではないことも多く、十分な理解につながりません。そこに専門用語が重なることで、説明を聞いている段階でも情報が錯綜しやすくなっています。

一方、医師・看護師は限られた時間のなかで、初診・検査・処置・説明・フォローをこなさなければなりません。日々の業務量の多さから、どれほど丁寧に説明をしていても、すべての患者に同じ品質を保つのは難しいのが現実です。

新領域医療が生む“誤解リスク”の増加

特に再生医療、美容医療、最新の外科的技術などでは、情報量が多く、医療の仕組みそのものが一般の人には理解しにくい場合が多くあります。治療名や工程が増えたり、技術的専門性が高まるほど、患者が誤解しやすいポイントも増えていきます。

「説明したはずが誤解されていた」「リスク部分が伝わらなかった」というケースは、患者の不安を増やすだけでなく、後々のトラブルにもつながるため、医療機関としても慎重な対応が求められます。

動画で説明を“標準化”する意義

こうした背景を踏まえると、説明をわかりやすくし、さらに「誰が説明しても同じ品質」を保てる仕組みが求められています。その解決手段として、インフォームドコンセント動画は非常に有効です。映像によって伝えることで、患者が自身のペースで理解する環境を整えられます。

2. インフォームドコンセント動画とは何か

映像だから実現できる“理解の支援”

インフォームドコンセント動画は、治療内容・リスク・注意事項など、患者の意思決定に関わる情報を「視覚化」して伝えることを目的としています。図解やアニメーションは複雑な説明の理解を助け、音声は説明の抜け漏れを防ぎます。紙資料では想像に頼らざるを得ない内容も、動画なら具体的に認識できます。

患者が一度で理解できなくても、複数回視聴できる点も大きな利点です。家族にも共有しやすく、治療の判断に必要な情報がこれまで以上に“届く”ようになります。

口頭説明・紙資料との役割の違い

口頭説明は柔軟ですが、説明の流れは話し手に依存します。紙資料は読み返せますが、情報が多くなると理解が追いつきません。動画はその両方の欠点を補い、図解・音声・映像を組み合わせることで理解しやすさを最大化します。

3. 動画が理解を深める理由──安心と納得を支えるメカニズム

情報を“ストレスなく吸収できる”状態をつくる

診察室では緊張して説明を聞き逃してしまう患者も多くいます。治療への不安が強い場合や、高齢の患者、外国人患者ではさらにその傾向が高まります。動画であれば、落ち着いた環境でゆっくり理解でき、説明内容の定着も高まります。

3-2. 医療者の説明品質を安定させる効果

動画を併用することで、医療者が負担に感じていた「毎回同じ説明を繰り返す」作業が軽減されます。新人スタッフでも一定レベルの説明が行えるため、経験差から生まれるギャップも抑えられます。

動画を導入した医療機関からは、
・説明不足によるトラブルが減った
・説明の重複が減り診察がスムーズになった
といった声が多く聞かれます。

4. 多様な医療現場で広がる動画活用

病院やクリニックでの活用

手術前説明や麻酔説明は、多くの患者が不安を感じる領域です。治療の流れを映像化することで、患者が具体的なイメージを持ちやすくなり、質問も整理され、対話がスムーズになります。

歯科・健診・美容医療の領域での展開

歯科治療では、インプラントや矯正など“工程が多い治療”に特に効果を発揮します。美容医療では施術後のダウンタイムや副作用の説明に役立ち、不安の軽減にもつながります。健診センターでは受診の流れを説明することで受付対応の負荷軽減にもつながります。

再生医療領域での複雑な説明に有効

細胞採取から加工、投与までのプロセスは口頭で説明すると情報量が多く、理解しにくい領域です。アニメーションを活用した動画は、工程の流れを整理し、患者の不安を軽減する効果があります。

5. 動画制作で重視すべき「正確さ」と「わかりやすさ」

専門用語を正しく“翻訳”するシナリオ設計

患者向けの説明では、専門用語の扱いが難しいポイントになります。医学的に正しい内容を保持しながら、患者が理解できる表現に変換する作業は、医療動画特有の重要な工程です。誤訳や過剰に簡略化された説明は誤解につながるため、経験ある制作会社が必要です。

実写とアニメーションの役割の違い

実写は院内の雰囲気や医療者の人柄を伝え、アニメーションは体内や細胞レベルの仕組みを安全に表現できます。この二つを治療内容に応じて組み合わせることで、患者にとって最も理解しやすい映像が形になります。

法令・倫理への正しい理解

表現が治療効果を誤認させないか、リスクを過小に表現していないか、薬機法に抵触しないかなど、細かいチェックが欠かせません。動画は患者の意思決定につながるため、法令と倫理を踏まえた制作体制が不可欠です。

6. 導入後の運用が医療現場の効率を変える

現場に“馴染む”導線設計の重要性

動画は制作して終わりではなく、運用と導線が整ってこそ効果を発揮します。診察前にQRコードで視聴してもらう方法、Web予約完了メールに動画リンクを添える方法、待合室で上映する方法など、患者が自然に触れられる導線づくりが大切です。

医療者の負担軽減と業務の効率化

事前視聴によって患者の理解が進むため、説明が短時間で済み、医療者の負担は大幅に軽くなります。説明の重複が減り、診察もスムーズに進むようになります。

7. 信頼性を支える制作──E-E-A-Tの視点から

医師監修と専門チームによるチェック

医療領域の動画はE-E-A-T（経験・専門性・権威性・信頼性）が求められます。医師監修のフローや法令チェック体制が整っているかどうかは、動画の質に直結します。

制作体制そのものの透明性

撮影ガイドラインへの準拠や個人情報保護への対応など、制作プロセスの透明性も医療機関が制作会社を選ぶ際の重要な判断材料になります。

8. エルモが医療現場から選ばれる理由

医療撮影に精通したチーム

清潔不潔の動線を理解した撮影、院内での配慮、器具の扱いなど、医療現場特有のルールに基づく対応力が強みです。

専門用語の翻訳力と構成力

難しい内容を正確にわかりやすく変換する構成力があるため、“誤解なく伝わる動画”を制作できます。

制作後の運用まで見据えた設計

動画だけでなく、導入後の活用まで見据え、QRコード連携、多言語字幕、家族共有など、現場に馴染む運用方法を提案します。

9. これからの医療コミュニケーションを支える動画の役割

医療のデジタル化と動画の融合

電子カルテや患者アプリが普及するなかで、動画は「説明のデジタルインフラ」として組み込まれ始めています。説明履歴の共有や、患者とのコミュニケーションの効率化に役立ちます。

患者の理解と安心を支えるしくみへ

患者の理解が深まり、医療者の負担が減り、医療全体の信頼性が高まる──その中心に、インフォームドコンセント動画が位置する時代になりつつあります。

エルモはその変化を支えるパートナーとして、医療現場の“伝える力”を支えていきます。