業務研修から安全教育、入社時研修まで、企業ではさまざまなケースやタイミングで社内研修を実施しています。
従来は研修担当がマンツーマンもしくは複数人に向けてリアル研修を実施していましたが、コロナ禍を経てリモートワークが増えたこともあり、社内研修を動画で実施するケースが急増しています。
本記事では、製造業・医療機器メーカーに特化した動画制作会社の株式会社エルモが、「社内研修に動画を活用するメリットや2025年最新トレンド、効果的な研修動画を作るポイント」について解説します。
- 研修動画を導入する5つのメリット
- 主な活用シーン4パターンと効果
- 2025年最新トレンドとテクノロジー
- 導入時の注意点と対策
- 製造業・医療機器メーカーの導入事例4選
- 社内研修の効率化を検討している人事担当者
- 新入社員研修の準備に追われている教育担当者
- 全国の拠点で教育効果を平準化したい経営層
- 安全教育の質を高めたい製造業の管理者
目次
社内研修に動画を利用する5つのメリット
社内研修を進めるにおいて、動画は大きな効果を発揮します。
- 学習効果が高い(記憶定着率2倍)
- コストやリソースなどの負担軽減
- 属人化を防ぎ、教育効果を平準化
- 時間や場所を問わず研修を受けられる
- 学習状況の分析を行える
1. 学習効果が高い
チラシ・パンフレット・カタログなどの紙媒体やWebサイトと比べ、動画の最も大きな特長はその情報量の豊富さです。
- 1分間の動画 = Webサイト約3,600ページ分
- 1分間の動画 = 文字約180万語分
- 記憶定着率は文字の約2倍
さらに目(視覚)と耳(聴覚)の両方から訴えかけることができるため:
- 言葉や文章では伝わりづらい内容をわかりやすく表現
- 説明が難しい微妙なニュアンスをビジュアル化
- より直感的な理解が可能で、高い学習効果を発揮
2. コストやリソースなどの負担軽減につながる
研修の実施にあたっては、講師側・受講側の両方に大きな負担がかかります。
従来の対面研修でかかるコスト:
- 講師側のリソース確保(準備時間・移動時間)
- 受講側のリソース確保(業務調整)
- 会場の手配・レンタル費用
- 研修資料の作成や印刷費用
- 研修会場への移動交通費や宿泊費
社内研修を動画で行う場合は、制作時点でイニシャルコストが発生するものの、上記のようなランニングコストはかかりません。
研修を行う回数が多いほどこれらの要素を削減でき、双方の負担軽減に繋がります。
3. 属人化を防ぎ、教育効果を平準化できる
社内研修にせよ営業にせよ、多くの場合説明する人のスキルや経験によって、伝わりやすさや理解度に差が生じます。
| 講師タイプ | 説明の質 | 受講者の理解度 |
|---|---|---|
| 若手社員(経験浅) | 不十分な説明 | 理解度にバラつき |
| ベテラン社員(経験豊富) | わかりやすい説明 | 高い理解度 |
| 研修動画 | 一定品質の説明 | 平準化された理解度 |
動画で説明する場合は、誰が使っても同じ効果を得ることができるため、講師側のスキルによって生じてしまう理解度の差を解消することが可能です。
説明にかかる講師側の負担を軽減することもできるため、有効に活用することで教育効果の向上と負担軽減を両立させることができます。
4. 時間や場所を問わず研修を受けられる
コロナ禍以降、働き方としてリモートワークが定着した企業は数多くあります。
従来の対面研修の課題:
- 本社または指定された貸し会議室に赴く必要
- 受講側がそれぞれ日程を調整して参加
- 移動時間・交通費の負担
動画研修のメリット:
- 基本的にネットワークに繋がったデバイスがあればOK
- 自宅でも出張先でも場所を問わずに研修を受講
- 受講する時間も個々の業務都合に合わせて調整可能
- ユーザーフレンドリーな研修を実現
5. 学習状況の分析を行える
自社のイントラネットや動画配信システムを用いて研修動画を運用する場合、個々の学習状況を見える化しやすいことも大きなポイントです。
- 各人が研修動画を見たかの確認
- 理解度確認のための小テスト実施
- 受講後のアンケート実施
- 結果のデジタル出力・自動集計
- 教育効果の定量的な把握
これらは結果がすべてデジタルで出力されるため、集計や管理がしやすく、教育効果をより客観的に定量的に把握することが容易になります。
【2025年版】研修動画の最新トレンド
研修動画の制作・活用方法は、技術革新とユーザー行動の変化により大きく進化しています。
押さえるべき3つのトレンド
1. マイクロラーニング(短尺動画)の普及
従来の30分〜1時間の長尺研修動画に加え、5〜10分の短尺動画に分割する「マイクロラーニング」が主流に。
| 形式 | 長さ | 特徴 |
|---|---|---|
| 従来型 | 30〜60分 | 網羅的だが集中力が続かない |
| マイクロラーニング | 5〜10分 | 集中力維持、スキマ時間活用 |
メリット:
- 通勤時間・休憩時間などスキマ時間で受講可能
- 集中力を維持しやすく、理解度向上
- 必要な部分だけ繰り返し視聴できる
2. VR/AR体験型研修が増加傾向
特に安全教育の分野で、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)を活用した体験型研修が増えています。
VR安全教育の例:
- 工場内の危険エリアを仮想空間で疑似体験
- 事故発生時の対処法をシミュレーション
- 実際には体験できない危険シーンを安全に学習
- 理解度: 従来の座学に比べて約1.5倍向上
- 記憶定着率: 約75%(座学は約10%)
- 研修時間: 約30%短縮
5. モバイルでの視聴も増加
スマートフォンでの視聴を前提とした縦型動画・モバイル最適化も進んでいます。
| 項目 | 従来型 | モバイルファースト |
|---|---|---|
| 視聴デバイス | PC前提 | スマホ前提 |
| 動画の向き | 横型(16:9) | 縦型(9:16)対応 |
| テキストサイズ | 小さめ | 大きめ(読みやすさ重視) |
| 視聴場所 | オフィス・自宅 | 通勤中・移動中も可 |
- マイクロラーニング(5〜10分の短尺動画)
- VR/AR体験型研修(特に安全教育)
- モバイルファースト設計で場所を選ばない受講
社内研修を動画で行う際の主な用途
研修動画を活用できる主なシチュエーションをご紹介します。
- 新入社員研修・中途採用研修
- 製品・サービス研修
- 安全教育研修
- 評価者研修・管理者研修
新入社員研修・中途採用研修
会社に入った段階で実施するいわゆる入社時研修では、自社の事業から業務内容、業界や業務に応じたルール、コンプライアンスなど幅広く学ぶ必要があります。
新卒社員の研修内容例:
- ビジネスマナー
- 企業理念・事業内容
- 各部署の業務内容
- 業界知識・専門用語
- コンプライアンス
動画は多くの情報を短い時間で伝えることに長けており、業界知識やスキルがほぼ無い状態で入社してくる対象に対しては特に効果的です。
後から気軽に見返すことができる点も大きな魅力です。
製品・サービス研修
自社で新しくリリースする製品やサービスを営業担当、サポート担当に理解してもらう「製品・サービス研修」としても動画は効果的です。
動画で表現できること:
- 製品の概要だけでなく独自の強みや技術
- 仕組みをイラストやCGを使って可視化
- 製品の使用シーンをリアルに再現
また、顧客向けに制作した製品紹介動画やサービス紹介動画を社内研修用のコンテンツとしてそのまま流用できることから、プロモーションと社内研修の両面をカバーすることができ、使い勝手の面でも非常に優れています。
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安全教育研修
工場の場合、大型の装置や車両が常時稼働しており、一歩間違えると重大な事故につながる可能性を秘めています。
実際にその事故を体験するわけにはいかないため、動画によるリスク周知や対策が有効です。
安全教育動画で表現できること:
- 仕事現場に潜むリスクをリアルに表現
- どのようなシチューションで事故が起こるのかを端的に理解
- 事故のメカニズムを3DCGで再現
- VRを使って事故を疑似体験
- 実写形式: 事故が起こるメカニズムを実際の現場で撮影
- 3DCG: 事故シーンを安全にリアルに再現
- VR(拡張現実): 事故を疑似体験し、記憶に強く残す
どの方法でも口頭やテキストベースに比べて直感的にリスクを理解できることが大きなメリットです。
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評価者研修・管理者研修
管理者研修においても動画は有効です。
新しく管理者になる社員に対して、以下を正しく理解してもらう必要があります:
- 部下を正しく指導・評価する方法
- パワハラ・セクハラをはじめとした各種ハラスメントの知識
- 管理者に求められる知識や行動
- 労務管理・コンプライアンス
動画研修のメリット:
- 時間や場所を選ばずに研修を受けられる
- 業務への影響を極力減らしながら研修を実施
- 研修受講後に小テストやアンケートを実施可能
- 対面での研修と同じようなアウトプットを期待できる
対面研修と動画研修の比較
対面研修と動画研修の違いを比較表でまとめました。
| 項目 | 対面研修 | 動画研修 |
|---|---|---|
| 場所 | 会議室・研修施設 | どこでも(自宅・移動中) |
| 時間 | 指定された日時 | いつでも(24時間) |
| コスト | 会場費・交通費・宿泊費 | 制作費のみ(繰り返し利用可) |
| 教育品質 | 講師スキルに依存 | 常に一定品質 |
| 質疑応答 | リアルタイムで可能 | 事後アンケート・チャット |
| 復習 | 資料を見返すのみ | 何度でも視聴可能 |
| 学習管理 | 出席確認・アンケート | 視聴履歴・テスト結果を自動集計 |
対面研修と動画研修は、それぞれの長所を活かしてハイブリッド型で実施するのが理想的です。
- 基礎知識: 動画研修で事前学習
- 実践・ディスカッション: 対面研修で実施
- 復習: 動画研修で繰り返し視聴
社内研修に動画を活用する際の注意点
社内研修に動画を活用するにあたって注意したいポイントをまとめました。
1. 動画の作成に手間とコストがかかる
社内研修に効果的な動画ですが、自社で作るにしてもプロに頼むにしても、最初にイニシャルコスト(制作費用と手間)がかかります。
研修の内容によってかかる費用や時間が異なるため、自社の研修スケジュールに合わせて準備期間を設ける必要があります。
- 動画で実施した方がよい研修は何か
- 自社で作るべきかプロに頼むべきか
- どんな研修内容にするのか
- 予算と期間はどの程度か
一度制作してしまえば繰り返し活用することができ、実施頻度の多い研修のほうがより動画化する効果は大きくなります。
2. セキュリティが問題となるケースがある
研修動画を大勢の従業員に配信する場合、情報漏洩などのリスクには注意が必要です。
リスクの例:
- YouTubeの限定公開URLが流出
- 無料クラウドストレージからの情報漏洩
- 社外の人が視聴可能な状態
推奨される対策:
- 自社のイントラネットで完結する仕組み
- 専用の動画配信プラットフォーム(有料LMS)の導入
- アクセス制限・パスワード保護の徹底
- 視聴ログの管理
3. リアルタイムの質疑応答やコミュニケーションなどが行えない
研修動画を配信する形式を取った場合、リアルタイムで受講者と講師がコミュニケーションが取れないことはひとつのデメリットになります。
解決策:
- ZoomやTeamsなどのオンライン会議で動画を共有し、その後に質疑応答時間を設ける
- 受講後にアンケートを取得し、疑問点を回収
- チャット・掲示板で質問を受け付ける
- FAQ動画を別途用意
一方的な発信ではなく双方向のコミュニケーションが行える環境を整えておくことで、教育効果をより高めることができます。
研修動画の制作実績
研修動画の制作実績をご紹介します。
DX推進のための研修動画
若手から役員クラスまで、社員1万人に向けたDX推進研修動画。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを「知ってもらう」「触れてもらう」ことを目的として制作。
できるだけ堅苦しさや小難しいイメージを排除するために、あえてポリゴンの少ないロボットをアバターとして使ったり、ナレーションにロボット音声を使ったりなど、気に留めてもらえるような仕掛けを盛り込みながら親近感を高めています。








推進工法の概要や仕組みを解説する教材動画
建設系専門学校の講義に活用することを目的とした推進工法の教材動画。
専門知識がない学生の方でも理解ができるように、複雑な説明は極力省きつつアニメーションや図表、写真などを織り交ぜて解説することで、推進工法の概要や仕組みをわかりやすく紹介しています。
本編は「推進工法の概要」「推進工法の解説」「特殊な推進工法」の3つで構成。
また、2分程度の企業紹介動画も合わせて制作し、合同説明会などの採用活動にも対応しています。
※弊社の導入実績ページでも詳しくご紹介しています。
製品の選び方セミナー動画
Web展示会の自社ブースで流すためのセミナーコンテンツとして制作。
金型加工用の切削工具を多数ラインナップする同社の強みを活かし「切削工程の生産性向上」と第して、加工物や保有機材に応じたおすすめの切削工具を紹介。
1本を10分程度にまとめ、またアナウンサーがナビゲーター役として解説を行うことで、一般的なWebセミナーとは異なる見やすさとわかりやすさを実現しました。








ドクター向けの症例紹介動画
2名のドクターによる帯状疱疹・水痘に関する症例とその見分け方を解説する教育・解説コンテンツ。
医療関係者向けの大手情報共有サイトに2週間おきに計4本掲載し、ドクターへの情報発信と内容に関するアンケート、そして自社診断キットの紹介が行われました。

研修動画に関するよくある質問
研修動画を制作するにあたってよくある質問をまとめました。
Q1. 研修動画の制作期間はどのくらいですか?
A. 一般的には1〜3ヶ月程度です。
内容や本数、撮影の有無などによって変動します。必要なタイミングが決まっている場合は、予め余裕を持って進めることをおすすめします。
短納期対応も可能ですので、まずはご相談ください。
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Q2. 研修動画の制作費用はどのくらいですか?
A. 内容・尺・表現手法によって大きく変動しますが概ね50~150万円程度が目安です。
研修の内容、対象、求める品質によって適切な予算が異なります。
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Q3. 社内で撮影した映像も使えますか?
A. はい、既存の映像素材も活用可能です。
社内に蓄積された素材(過去の撮影データ、広報写真)を活用することで、撮影工数を削減し、コストを抑えることができます。
素材の品質や使用条件については、事前にご相談ください。
Q4. 研修動画は何分くらいが適切ですか?
A. 内容によりますが、5〜15分が一般的です。
| 尺 | 適した内容 |
|---|---|
| 5〜10分 | マイクロラーニング、基礎知識 |
| 10〜15分 | 製品研修、業務マニュアル |
| 15〜30分 | 専門的な技術研修、詳細解説 |
長すぎると集中力が続かないため、内容を複数の動画に分割することをおすすめします。
Q5. 多言語対応は可能ですか?
A. はい、多言語字幕・多言語ナレーションに対応しています。
外国人労働者向けに、英語・ベトナム語・中国語など多言語字幕を付与することが可能です。
AI自動字幕技術を活用することで、従来より低コスト・短納期で多言語化できます。
Q6. VR/AR研修動画も制作できますか?
A. はい、VR/AR体験型研修動画にも対応しています。
特に安全教育の分野で、VR(仮想現実)を活用した体験型研修が効果的です。
工場内の危険エリアを仮想空間で疑似体験でき、実際には体験できない危険シーンを安全に学習できます。
社内研修で動画を活用するメリットのまとめ
社内研修において動画は、「見る人の正確な理解」と「受講者・講師双方の負担軽減」に貢献できるコンテンツです。
特にコロナ禍以降は働き方が変わった企業も多く、従来の社内研修のプロセスでは予定に手間がかかったり、十分に対応ができないケースが出てきており、結果として動画による研修にスポットがあたっている現状です。
売上につながる可能性がある販促向きのコンテンツと異なり、あくまで社内で完結する社内研修にどれだけ手間とコストをかけるのかは企業によってさまざまです。
研修対象の人数、研修を行う回数、突発的なのか恒常的なのかなどによっても、どのような研修スタイルが最適なのかは変わります。
動画による研修のメリットを理解し、効果的で負担の少ない研修実施に役立ててください。



