動画を活用した企業コミュニケーションは、今や欠かせない戦略のひとつとなりました。その中でも「会社紹介動画」は、企業が初めて制作する動画コンテンツとしても非常に適しており、採用活動、営業、ブランディングなど多岐にわたる用途で活躍します。

この記事では、会社紹介動画の目的やメリット、活用シーン、構成要素、制作におけるポイントまでを幅広く解説します。

特に製造業や医療・医薬分野の企業にも役立つ内容です。動画制作の初心者にとってもわかりやすく、実務で使える実践的なヒントも多数紹介しています。

会社紹介動画とは?

会社紹介動画(コーポレートムービー)は、自社の事業内容、企業理念、沿革、組織体制、製品・サービスなどを映像でわかりやすく伝える動画コンテンツです。

企業の全体像を1本の映像に凝縮することで、対外的な信頼獲得やブランド強化につなげることができます。

対象となる視聴者は、顧客・取引先・求職者・株主・投資家など多岐にわたり、それぞれに適した情報を動画によって端的に届けることで、資料やパンフレットだけでは伝わらない「企業の顔」や「空気感」を補完します

たとえば、技術力やシェアが高い企業であっても、社名や事業の詳細が一般には知られていない場合、企業紹介動画が“認知の扉”を開く役割を果たします

また、創業年数や沿革、事業の拡大実績など、文章では伝えきれない成長ストーリーを映像で視覚化できるのも強みです。

会社紹介動画の目的と役割

企業ブランディングの強化

製品やサービスのスペックや価格競争力だけでなく、企業としての存在意義や社会的使命も評価される時代です。

理念やパーパスを映像でわかりやすく伝えることで、ブランド価値を感覚的にも定着させることができます

信頼の構築とイメージ醸成

BtoB企業においては、初めての接触でいかに信頼感を醸成できるかが商談の成功を左右します。

会社紹介動画は、名刺交換やWebサイト閲覧などの“次のアクション”を引き出すトリガーになり得ます

採用活動のサポート

とくに理系学生や専門職志望の若年層に対しては、社内の雰囲気や業務内容を動画で具体的に提示することで、応募意欲の向上やミスマッチの防止に寄与します

インターンや採用説明会、ナビサイト等の採用媒体でも活用されています。

海外展開や多言語対応

日本語に限らず、英語・中国語・ベトナム語などで字幕・ナレーションを展開することで、グローバル市場での企業アピールにも有効です

日々の営業活動や展示会、Webミーティングなどのさまざまなシーンで利用されています。

動画ならではのメリット

短時間で伝達できる情報量が圧倒的

1分間の動画の情報量は、およそ180万語に匹敵するとされ、テキストの約3600ページ分の情報を含んでいると言われています。

動画なら、3分程度でも企業の概要や強みを印象的に伝えることができます。

視覚・聴覚の両方で訴求できる

ナレーション・音楽・テロップ・3DCG・撮影映像を組み合わせることで、理解を促進し、記憶に残りやすくなります。

感情に訴える演出によって、共感や信頼の形成がしやすくなります。

活用シーンが多く長く使える

営業・採用・IRなどあらゆる場面で使える上、チャプター単体で使ったり特定のチャプターを組み合わせて使ったりと使い勝手にも優れるのがポイントです

展示会や株主総会、会社説明会、Web広告など多用途に展開できるため、コストパフォーマンスも非常に高いのが特徴です。

説明の平準化と省力化

説明者の話術や経験に依存せず、常に一定の品質で会社の魅力を伝えることができます。

動画を流すだけで基本情報が伝わるため、プレゼン負担も軽減され、属人的な説明のバラつきを抑えることができます

会社紹介動画の制作事例

会社紹介動画の事例を、課題や制作のポイント別にまとめました

事例1:株式会社大紀アルミニウム工業所 様

企業情報を網羅的に紹介した 会社紹介動画

【制作のポイント】
チャプター形式を採用し「パーパス」「会社概要」「生産工程」「研究開発」「グローバル活用」「環境活動」の6つのチャプターで構成。

三重県・滋賀県・福島県などの主要工場で撮影を行い、実写映像を中心にまとめたオーソドックスかつ壮大な仕上がりになっています。

更新しやすい設計にしておくことで、海外拠点の追加などの追加変更があったさいに柔軟に対応できるようにしています。

現在は株主総会やリクルート、来客対応などで活用いただいています。


※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

事例2:丸一鋼管株式会社 様

企業のビジョン・強みの訴求に重点を置いた会社紹介動画

【制作のポイント】
「ビジョン」「事業・沿革」「強み・風土」「SDGs」「社員メッセージ」の5つのパートで構成した事例。

製品や製造工程の説明的なコンテンツではなく、企業としての考えや想いを伝えることに重点をおいて制作しました。

撮影については4Kシネマカメラを採用、質感の高い表現を用い、またビジョンや想いなどは、グラフィックで補完しています。

おもに株主総会、工場見学会、採用活動などで活用いただいています。


※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

事例3:株式会社タカコ 様

油圧機器を支える精密機器メーカーの会社紹介動画

【制作のポイント】
パワーショベルやコンバイン、フォークリフトなどの建設機械・農業機械に利用されるアキシアルピストンポンプの内蔵部品をはじめ、ソレノイドバルブ、マイクロポンプなどを製造される株式会社タカコ様の会社紹介動画。

グローバルで高い製品シェアを持つ同社の事業やその特長、製造体制、ネットワークなどを網羅的にまとめました。

日本語だけでなく、英語・中国語の3言語で制作しています。

※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

事例4:ステラケミファ株式会社 様

創業100年を超える化学メーカーの採用動画

【制作のポイント】
100年以上の歴史を誇り、半導体用薬液などのフッ素化合物分野で世界トップレベルのシェアを持つ化学メーカーの採用動画。
求職者の学生向けに自社の事業やその特長、強みなどのポイントを具体的な数字を交えながら紹介。

伝える内容を具体化することによって、より客観的に自社の魅力を表現することができ、業界知識の乏しい方に対する訴求力を高めています。

また、この採用動画は「会社概要」のほかに「業務紹介」「オフィスツアー」「先輩社員の質疑応答」「部門長のメッセージ」の5つの要素から構成されており、採用プロセスに合わせて使い分けられています。

※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

事例5:東洋特殊鋼業株式会社 様

工場見学者向けの会社紹介動画

【制作のポイント】
営業用途に特化した工場見学者向けの会社紹介動画

工場の生産能力から製造可能な形状や厚み、製造工程や各種設備の紹介、品質管理に対する取り組みなどを盛り込み、お客様に安心感を与え、背中を押すためのツールとして制作しました。

一般的な会社紹介動画よりも製造能力や体制・品質管理などを重点的に取り上げ、撮影が難しい部分はグラフィックで補足して表現するなど、お客様が知りたい情報を全面的に押し出しています。


※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

事例6:株式会社ヒラノテクシード 様

トップ商談に用途を絞った会社紹介動画

【制作のポイント】
動画そのものはオーソドックスなチャプター式で、実写を中心に構成。

内容をより営業対応を重視したものにし、この動画を見ることでクライアントの疑問が概ね解消するということを目指して制作しました。

また海外の商談が多いこともあり、日本語に加えて英語・中国語・韓国語の合計4ヶ国語で展開するなど、実際の使い勝手を重視した内容に仕上がっています。

※実績の詳細はこちらからもご確認いただけます。

会社紹介動画の主な構成

会社紹介動画は、自社の事業から拠点、CSRなどまで幅広い情報を取り扱うことから、伝えたい要素をいくつかのカテゴリに整理して構成するケースが主流です。

主に盛り込まれる要素は以下のとおりです。

構成要素目的・内容対象
A. ブランドメッセージ経営理念やビジョンなど、企業の存在意義を伝え、ステークホルダーへのブランドイメージを強化する。SDGsやカーボンニュートラルと連動することも多い。全ステークホルダー(顧客・求職者・投資家など)
B. 事業概要事業内容や製品情報を簡潔に紹介。具体的な数字や業界での立ち位置をインフォグラフィックで表現するケースが多い。銀行・求職者・投資家など企業を詳しく知らない層
C. 製造工程製品がどのように作られているかを実写や3DCGで紹介。製造体制や設備への信頼感を醸成する。顧客・取引先・求職者
D. 研究開発・品質管理新製品開発や品質保証体制の紹介。技術力と信頼性を可視化し、自社の優位性をアピールする。顧客・取引先・投資家
E. ネットワーク・拠点情報国内外の営業所・工場・代理店などのネットワークを紹介し、競合との差別化やグローバル体制を訴求。顧客・投資家・求職者
F. CSR・SDGs・カーボンニュートラル環境・社会・人への取り組みを紹介。企業の社会的責任を果たす姿勢を示す。株主・社会全般・社員

制作時の注意点と進め方

1. 目的とターゲットを明確に

営業向けか採用向けか、株主向けかによって構成・演出は大きく変わります。

見る人の知識レベルや興味関心度合いに応じて、伝わりやすい最適なシナリオを構成することが重要です

2. 競合との差別化ポイントを整理

「他社とどこが違うのか」「自社ならではの強みは何か」を明文化することで、ブレのない訴求軸を構築できます

社内だけでなく、取引先や顧客へのヒアリングも有効です。

3. 撮影準備を丁寧に

撮影現場の掃除・レイアウト調整・照明準備・従業員の服装・作業風景など、細かな配慮が映像の質を左右します

製造業の場合、ヘルメットの傷や作業台の汚れなども事前にチェックしておくのが理想です。

4. 季節と天候を考慮する

工場外観や敷地のドローン撮影がある場合、緑が映える春や秋がおすすめです

曇天や冬季の枯れ木は企業の印象を地味に映してしまうため、スケジュールには余裕を持たせて自社の魅力をより際立たせられるタイミングで撮影できるとベストです。

制作費用と期間の目安

会社紹介動画の制作費は、おおよそ150万円〜350万円が一般的な相場です。

費用の変動要因としては以下があります:

  • 動画の長さ(3分〜10分)
  • 撮影の回数・場所(複数拠点・遠方など)
  • 3DCGやアニメーションの有無
  • ナレーション収録や字幕の言語数
  • 修正回数やMA作業のボリューム

制作期間は平均して3〜4ヶ月が目安です。短納期にも対応は可能ですが、その分事前準備や構成作業に圧縮が求められるため、クオリティとのバランスに注意が必要です。

動画制作会社の選び方

  • 業界実績があるか:製造業や医療系など、業界特性を理解している会社が理想
  • アニメーションやCGに対応可能か:イラストや3DCGを内製できるとスムーズ
  • 多言語翻訳の対応力:字幕翻訳や多言語ナレーションの品質も重要
  • スケジュール・予算への柔軟性:段階的提案や費用調整に応じてもらえるか
  • 自社の強みを“引き出す力”:ヒアリング力や提案力があるかどうか

最終的には「どれだけ企業の魅力を客観的に、効果的に表現できるか」が成果を分けます。制作会社とは十分なコミュニケーションを重ねて方向性をすり合わせましょう。

まとめ

会社紹介動画は、企業の魅力や価値を伝える上で、極めて有効な手段です。営業や採用、IR、ブランド構築など、企業活動のあらゆる場面で活用され、動画1本が複数の効果を発揮する“資産”になります。

一方で、構成や演出、ターゲット設定などを誤ると、せっかくの投資が十分な効果を発揮しません。目的を明確にし、ターゲットを意識した動画を設計することで、自社の魅力を最大限に引き出すことができます。

このガイドを参考に、貴社の魅力を映像で伝える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。